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白内障手術は目と頭で行うもの

更新日:2021年11月29日

白内障手術の特徴として手術中に水晶体を手で直接触れることはできません。ですから、顕微鏡下に見えるものから水晶体の硬度、位置、性状や現状を類推し超音波チップによる核の破砕、吸引状況を観察しながらPhaco machineを操作する手術です。



加えて、両手に把持するフックや超音波プローブには、水晶体が触れた感覚や水晶体の硬さや柔らかさの感覚は核がかなり硬いまたは軟らかい場合以外は伝わってきません。このため、フックを有効利用して、指先で手探りするように使うことを推奨します。即ち、核とエピ(epinucleus)の層間にフックを挿入させ核の位置や形状を観察し易くし、核をフックで触れ顕微鏡下で観察することで硬さや形状、位置を類推します。以上から、顕微鏡下での目による観察から詳細な情報を得て、それを頭の中で3次元展開や分析を行い核の性状、位置関係を類推して適切に判断しながら行うのが白内障手術と考えます。また、Phaco machineをフットスペダルでコントロールして、核の破砕状況、核の把持吸引、皮質の吸引状況を顕微鏡下で観察することでその状況を正しく判断して、適切にかつ繊細にマシーンを調節しながら行う手術でもあります。最新のフェイコマシーンは、フットペダルを繊細にコントロールすることで術者の意図通りにパワーや吸引圧をコントロール可能で、こうした術式が現状のPhaco machineを最大限に活用できる術式と考えます。以上から、白内障手術は目で詳細に観察して、その情報を基に脳内で分析しながら行う手術と言えるでしょう。

さてある白内障手術の指導書には、核処理に際して「足パルス」と称してフットペダルを深く踏み込み直ぐに戻すを繰り返して核処理を行う足の使い方が推奨されています。この方法は、超音波発振にパルスモードがなかった時代に広く行われていたものです。しかし、現存するPhaco machineではパルス発振は可能でありこの様な足の使い方は時代遅れであると共に性能を十分に生かした機器の使用法ではありません。また、症例を重ねると足パルスを行うことで後囊破損に至る症例に必ず遭遇します。ですから、機器の性能を十分に生かしたフットペダルにより超音波発振と吸引圧を繊細にコントロールしながら核の破砕、吸引を行いその状況を詳細に観察しながらの手術手技をマスターしましょう。何故なら、症例は千差万別でありその時々の状況を適切に判断しながら行う手術方法が合併症を最小限に止めると考えるからです。しかし初心者の手術を観て感じることは、水晶体の解剖や位置関係を目からの情報ではなく妄想に近い想像で判断して合併症に対し過度に恐怖を抱きながら手術を行なっていると強く感じます。一方、熟練した術者は目に見えているものを事実と認識してその状況を適切に判断して手術を行なっていると感じます。


話は変わりますが、15-20年前の古い顕微鏡を使っている術者も多いと思いますが、詳細を観察できない顕微鏡を使っていては目から入る情報量に制限が加わるため手術は上達しません。必ず最新の顕微鏡を使いましょう。手術用顕微鏡は1000万以上する高額医療機器ですが、壊れてしまったら病院側は購入するしかありません。ですから、先ずは業者に相談して古い顕微鏡の修理不能伝票を書いてもらいましょう。15年以上使い古した医療機器は、詳しく調べてもらうとどこかは壊れています。業者側は、顕微鏡を買ってもらいたいし医師側は新しい顕微鏡が欲しいのでこの取引は必ず成功します。


さて、現状一番良く見える手術用顕微鏡は何でしょうか。それは、LeicaのProveo8です。硝子体手術に対してもBIOMを設置する事で広角手術が可能です。他の機種と比較すると、見えるものが全く異なり立体感覚に優れ特に前嚢フラップの扱いが簡単に感じます。硝子体術者として、広角観察システムのResightとBIOMの両者を使っている立場としては、PVRやPDRを多く手術する施設では、Resightがやはり必要と思います。白内障手術が多く、硝子体手術もERM中心の施設では、是非ともLeicaを導入してみてください。見える世界が変わり、手術がとっても楽になりますよ。

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